電解コンデンサの電気用図記号は、新しい標準規格JIS C 6017-1999で、斜線を無くし大きく変わりました。
日本の電気用図記号は、比較的アメリカの回路図記号EIA規格を使い、ヨーロッパのIEC規格を併記してきました。世界標準となっているIECへ全面移行した JIS C 6017です。実は、電解コンデンサは事情が異なっていました。日本だけ独自の図記号で、アメリカやヨーロッパからも、「この記号はなに?」と聞かれる状態だったのです。
日本と海外の記号を比較すると、日本だけ斜線が入っています。図記号全般として斜線は珍しく、コンデンサの2枚の平行板を示した記号に見えずに、コンデンサの記号と理解されないようです。
いまや無くなった、斜線の入った電解コンデンサの回路図記号ですが、時代とともに6本から3本まで多彩な記号があり、標準規格や業界規格で決められていました。
エンジニアの認知度が高いのは、斜線が3本の記号でトランジスタ技術(CQ出版社)で採用されている回路図記号と思います。JIS C 0301では、斜線が5本の図記号が記載されています。
昭和10年(1935年)ごろから日本電機工業会の前身にあたる八日会で標準化が議論されるようになるまで、自社規格や業界規格がおおく、標準化後も必ずしもJIS規格(旧 JES規格)へ一本化されない状況が続きます。1999年にJIS C 0617ができた今も、新しい記号で統一されてないのでそんなものでしょう。
電解コンデンサの回路図記号は使われている一部で、いろいろなバージョンが存在します。昔の図記号をさがすと、斜線の本数は関係ないと言わんばかりに斜線をいっぱい書かれてることもあります。
電気図記号は、JES 電気 0301から、JIS C 0301 1952年、1965年、1982年、1990年に大きな改訂があり、1999年に現在のJIS規格C 6017に改められてきました。歴史と共に、変わってきた図記号ですが、知らないと古い回路図を読めません。私はアメリカの缶型の電解コンデンサ記号を知らなかったので、知識は大切だなと再認識させられました。
面白く読まさせていただきました。手書きのときは未だに斜線入りを使っています。